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相場と情勢


by f1wrxgt
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宮崎正弘メルマガ  転載

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 4月4日(水曜日)   
通巻第1760号  

中南米諸国で中国との通商摩擦が激化の兆し: 繊維産業は悲鳴、
「中国は失業も輸出するのか」と経済ナショナリズムは反中路線
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3月にブッシュ大統領は中南米を歴訪したが、「これっ!」という成果はなかった。
各地で反米の嵐に直面した。とくにベネズエラのチャバス大統領の反米キャンペーンに
汚染される地域では逆効果の観もあった。

ところが、「反米」が常識の、これらの国々で、じつは反中国感情のほうが強くなっている。
コロンビアでも中国からの繊維製品があふれ出し、01年からの統計で五倍に飛躍していた。
同国の繊維産業は悲鳴をあげている。麻薬以外にも正業があるのだ。
なかには前年比97%の売り上げ減の会社もあって「数年もしないで、この国の繊維産業は
中国につぶされるのではないか」と恐怖の声が挙がっている(ブルームバーグ・ニュース、
4月3日付け)。

「どれほど色調やデザインで工夫しても中国はすぐに追いついてくる」。
コロンビアでは過去三年間で綿糸製品工場から14000人が解雇された。

繊維産業は、安い労賃が致命的な鍵を握る。くわえてメインの市場は米国、EU、日本
だから、数量制限の抜け道をさぐるため、昔から海外への生産拠点移動が企業の戦略
としてあった。
中国の繊維産業は工場をラオス、カンボジア、ミャンマー、ベトナムそしてバングラデシュ
へ移転した。ラテン・アメリカへも、そうした戦略から中国は移転してきたのである。
各地で、当該国の繊維産業をひたすら脅かし、チャイナだけが肥った。

世界の繊維市場における中国製品の猛攻は、1775億ドルもの貿易黒字の大部を占める。

▼中国より労賃が安い生産拠点で軋轢

南部アフリカのレソトでも中国の工場が進出してきたことにより、ローカル企業は倒産に
追い込まれた。

ブラジルでチリでアルゼンチンで、同様な難題がふりかかった。
あまりに急激な、猛烈な、中国からの浸透に当該政府はなすすべもなく、いたずらに経済
ナショナリズムが湧き起こり、標的が中国となって、急傾斜してゆく様を目撃している。
靴メーカー、スニーカー企業も被害甚大だ。

対米輸出で価格競争に負ける一方のラテン・アメリカ諸国。
米国に於けるシェアは、中国産が30%を占めるようになり、従来トップだった中南米産は
18%に落ち込んだ。
中米のグアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル、ニカラグア、コスタリカ、ドミニカの六カ国
(これら六カ国はCAFTAを結成している) に認められた数量枠および特恵関税があるが、
にもかかわらずこれらの地域からですら米国のおけるシェアを劇的に下落させた。
金額にして14億ドルだった輸出額が8億5000万ドルに急減。

繊維は中南米の経済弱小国において基幹産業でさえある。
その地位を脅かし、全体の調和を傷つけても猛攻を繰り返す中国とはいったい何ものか。
 
近東へ飛んで、トルコでも繊維産業全体で10%の雇用が失われていた。
つぎなる問題は、このあたりに存在しているのではないか。
by f1wrxgt | 2007-04-03 22:34