頭に入れておきましょう
2008年 02月 17日
FACTA:2008年2月号 から貼り付け
(貼り付け始め)
火がついたら大変。証券化商品の46%はファンド保有。ハイリスクな150兆円の恐怖。
http://facta.co.jp/article/200802049.html
2008年の年明け早々、ウォール街を首切りの嵐が襲っている。
英紙タイムズ(オンライン版)は8日、米シティグループが07年度の決算発表時に、従業員の10%に相当する3万2千人の削減を発表する可能性があると報じた。CIBCワールド・マーケッツのアナリスト、メレディス・ホイットニーによれば、シティの経営を立て直すには、傘下の証券仲介業者ソロモン・スミス・バーニーを売却するほかない。優良事業を売り飛ばさなければ、シティもまとまった資金が入らないのだ。
トップたちも首筋が寒い。シティ、メリルリンチに続き、第三の遅すぎた辞任劇がウォール街の嘆息を誘っている。サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題で深刻な痛手を被った投資銀行ベアー・スターンズのジェームズ・ケイン会長兼最高経営責任者(CEO)が、同じ8日にCEOを辞任すると発表したからだ。
1993年からベアーのCEOをつとめ、2月14日で満74歳になるケインは、昨年、ベアー傘下のヘッジファンドがサブプライムの運用で失敗し、対応が後手に回ったため、その経営手法に大きな疑問符がつけられた。投資家から囂々たる非難を浴び、満身創痍の退陣である。ただ、会長職にはとどまる意向を取締役会に伝えた。
SECが捜査に乗り出す
サブプライムの「虚飾の市」については、改めて言及するまでもあるまいが、ベアー傘下のファンドについて、米証券取引委員会(SEC)とニューヨーク州東部地区連邦地方検事局が本格捜査に乗り出した。その意味は重い。「サブプライム禍」は、相次いで巨額損失を計上した大手金融機関から、次はヘッジファンドに飛び火――とも見えるからだ。
ベアー傘下ファンドの責任者で、サブプライム絡みの金融商品を運用していたラルフ・シオッフィが、自らの運用資産をベアー傘下の別のファンドに移したことが、SECの疑念を招いた。サブプライム市場に陰りが見え始めた07年早々、シオッフィは強気を崩さず「市場が弱気になった機会を生かして、もうけるつもりだ」と公言していた。
結果は裏目に出て、7月に破産申請となった。住宅ローンを元手にした債務担保証券(CDO)で投資家に16億ドルの損失を被らせたのだ。
非難が集中して当然だろう。大手英銀バークレーズはベアー傘下のファンドとは因縁浅からぬ関係にある。破綻した二つのファンドの一つ、エンハーンスト・レバレッジ・ファンドの単独出資者だった。ところが、もう一つのファンドであるベアー・スターンズ・アセットマネジメントが、07年5月に最もリスクの高い証券5億ドル分をエンハーンストに転売した。ファンド破綻後、バークレーズとベアーの間で、いざこざが起きたのは言うまでもない。
バークレーズは07年12月、ベアーを相手取り損害賠償請求訴訟を起こした。「ベアー・アセットは取得価格では他の投資家には転売できそうもない証券を飛ばす場所として、エンハーンストを利用した」とバークレーズは訴状で指摘している。
連結対象外の会社や取引先を利用した問題債権の「飛ばし」といえば、バブル崩壊後の日本を思い出させる損失隠しの手法である。苦しいときに金融機関が頼る手法は同じらしい。
ベアーの07年9~11月期(第4四半期)の損失(優先配当支払い後)は8億5400万ドルにのぼった。9~11月期だけで19億ドルものサブプライム関連損失が出たためで、四半期ベースでの赤字転落は1923年の創業以来初めて。手堅い証券会社としての信用に傷がつき、決算もボロボロ、経営立て直し策も見当たらない。ベアーは米国株の弱気(ベア)を象徴する羽目になった。
阿鼻叫喚の巷のウォール街で唯一と言っていい例外は、証券化商品のリスクにいち早く気づき、空売りでしたたかに儲けたゴールドマン・サックスだろう。同社のアナリストは、自社以外の大手金融機関――シティ、メリル、JPモルガン・チェースなどのサブプライム関連損失額が、従来予想に比べて一段と膨らむに違いないと予想する。
その推計ではこの10~12月の評価損だけでシティ187億ドル、メリル115億ドル、JPモルガン34億ドルとなった模様だが、サブプライムを原材料にした複雑な証券化商品であるCDOの評価損は今後さらに拡大すると見ているのだ。CDOは買い手がつかず市場が“蒸発”している。損失は実現損でなくモデル価格による評価損だから、計算を見直すたびに損が膨らむ悪循環が起きる。
ハイリスク部分を抱える
さらに見逃せないのは、誰がリスクの高い証券化商品を保有しているかである。年金基金、保険会社、銀行……いずれもイエスだが、本当の答えはヘッジファンドだ。ベアーのケースをやや詳しく紹介したのも、ファンドが抱える爆弾の性格を理解してもらうためである。ならば、ファンド勢はどの程度の額の証券化商品を保有しているのか。
雲をつかむような話と思われるが、天網恢々疎にして洩らさず――。
経済協力開発機構(OECD)が昨年11月下旬にまとめた「金融市場報告」にヒントがある。サブプライムなどを元手にしたCDOの所有者別の保有状況を推計しているのだ。グローバルなCDOの総額を3兆ドルとみて、ヘッジファンドの保有分は1兆3960億ドル(約150兆円)。CDO全体に占めるファンドの保有比率は46.5%に達する。
もうひとつ注目されるのは、投資適格に満たないBB格や無格付け(エクイティ)部分を、ファンドが大量に保有していることだ。ファンド勢によるBB格部分の保有額は690億ドル、無格付け部分は5730億ドルに達する。CDO全体のBB格は870億ドル、無格付け部分は7980億ドルだから、ヘッジファンドがリスクの高い部分の大半を引き受けている構図が浮かぶ。
サブプライムが証券化に適していたのはほかでもない。通常のプライム(優良融資先)に比べて金利が高く、金利収入というキャッシュフロー(現金収支)を得やすかったうえに、少しでも高い投資収入を求めたファンド勢が、リスクの高い部分をまとめて購入してくれたからだ。元になる資産がサブプライムなのに、そこからAAAなど格付けの高い商品をこしらえることができた裏には、こうしたカラクリがある。
証券化の魔法が可能だったのは、サブプライムの焦げつきが低く抑えられていればこそ。ところが、サブプライムの利払い延滞は昨年後半にかけて急上昇、住宅を差し押さえて担保処分しようにも、住宅市場は冷え込んでいる。ファンドが引き受けていたCDOは今や水浸しなのだ。
証券化商品の実勢を測る物差しのABX指数では、昨年12月時点でBBB格とBBBマイナス格が額面100に対して20程度。BB格や無格付け部分は紙屑同然だろう。それをしこたま抱えたファンド勢の決算が次々火を噴くのは目に見えている。
さらに悩ましいのは、米欧の大手金融機関そのものがファンド関連のビジネスにどっぷり手を染めていたことだ。ファンドが保有する証券を担保に短期の与信をし、証券の執行や代行を行うばかりでなく、投資案件を見つけ出してはファンドと二人三脚を組む。プライマリーブローカーと呼ばれるファンド関連業務は、米欧金融機関の収益源だった。
UBS、クレディ・スイス、ドイツ銀行、ゴールドマン、モルガン・スタンレー、JPモルガン・チェース、リーマン・ブラザーズ、メリル、シティ、そしてベアー――米欧の大手10金融機関で、ファンドへの総与信額は3兆2560億ドル(約350兆円)にのぼり、10社の中核的自己資本(BIS規制によるティア1)の合計4390億ドルをはるかに凌駕する。銀行が抜本処理に乗り出した傘下のSIV(投資ビークル)の推定総資産4千億ドルの8倍というから、天文学的な数字だ。
証券などの担保を抑えているから大丈夫との指摘もあろうが、金融市場全体が凍てつくなかで、大手ファンドが倒れた場合の衝撃は小さくあるまい。何よりも住宅投資の落ち込みで実体経済が失速した場合の影響を軽視できない。金融市場の混乱が景気悪化を招き、景気悪化が今度は金融不安の種になる。バブル崩壊後の日本が経験した負の連鎖の再来だ。
MMFの抱える爆弾も
米有力ストラテジスト、バイロン・ウィーンは毎年恒例の「サプライズ予想」の冒頭で、ドラスチックな米国景気後退を挙げている。
「米連邦準備理事会(FRB)による金融緩和や他の政策手段が打たれても、住宅着工件数は軟調が続き、リスクが明白な借り手への融資に銀行が二の足を踏むことで、米経済は01年以来の景気後退に直面する。短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利は3%以下に下がり、失業率は5%を上回り、消費支出の足取りは重くなる」
ウィーンの予想の二番目は「S&P500種の収益は前年比減となり、S&P株価指数も10%下落する」。1月8日までニューヨーク株式市場が急落したのは、この予想をなぞっているようにもみえる。
ヘッジファンドが倒れ、大手金融機関の自己資本に穴が開いたとき、中東や中国などの政府系ファンド(SWF)の出資でその穴を埋め続けられるのか。
もうひとつ、決定的な爆弾はリスク回避の資金の駆け込み寺、MMF(マネー・マーケット・ファンド)に潜む。サブプライム絡みの商品を基にした資産担保コマーシャルペーパー(ABCP)に投資していたMMFの一部は、解約に見舞われだした。バンク・オブ・アメリカなどは傘下のMMFに資金を注入し、絆創膏を貼っている。とはいえ、サブプライム禍が一段と深刻になり、MMFの元本割れが相次いだら、97年の日本の北拓・山一危機のように解約の嵐が起きないとは限らない。
銀行株が米国以上に下がっているのに、邦銀のサブプライムの損失が一ケタ小さいせいか、日本の経済人はのほほんとしている。が、サブプライム爆弾の次に、ヘッジファンド爆弾が炸裂し、MMFにも余波が及ぶ日は遠くないのだ。=敬称略
(貼り付け終わり)
(貼り付け始め)
火がついたら大変。証券化商品の46%はファンド保有。ハイリスクな150兆円の恐怖。
http://facta.co.jp/article/200802049.html
2008年の年明け早々、ウォール街を首切りの嵐が襲っている。
英紙タイムズ(オンライン版)は8日、米シティグループが07年度の決算発表時に、従業員の10%に相当する3万2千人の削減を発表する可能性があると報じた。CIBCワールド・マーケッツのアナリスト、メレディス・ホイットニーによれば、シティの経営を立て直すには、傘下の証券仲介業者ソロモン・スミス・バーニーを売却するほかない。優良事業を売り飛ばさなければ、シティもまとまった資金が入らないのだ。
トップたちも首筋が寒い。シティ、メリルリンチに続き、第三の遅すぎた辞任劇がウォール街の嘆息を誘っている。サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題で深刻な痛手を被った投資銀行ベアー・スターンズのジェームズ・ケイン会長兼最高経営責任者(CEO)が、同じ8日にCEOを辞任すると発表したからだ。
1993年からベアーのCEOをつとめ、2月14日で満74歳になるケインは、昨年、ベアー傘下のヘッジファンドがサブプライムの運用で失敗し、対応が後手に回ったため、その経営手法に大きな疑問符がつけられた。投資家から囂々たる非難を浴び、満身創痍の退陣である。ただ、会長職にはとどまる意向を取締役会に伝えた。
SECが捜査に乗り出す
サブプライムの「虚飾の市」については、改めて言及するまでもあるまいが、ベアー傘下のファンドについて、米証券取引委員会(SEC)とニューヨーク州東部地区連邦地方検事局が本格捜査に乗り出した。その意味は重い。「サブプライム禍」は、相次いで巨額損失を計上した大手金融機関から、次はヘッジファンドに飛び火――とも見えるからだ。
ベアー傘下ファンドの責任者で、サブプライム絡みの金融商品を運用していたラルフ・シオッフィが、自らの運用資産をベアー傘下の別のファンドに移したことが、SECの疑念を招いた。サブプライム市場に陰りが見え始めた07年早々、シオッフィは強気を崩さず「市場が弱気になった機会を生かして、もうけるつもりだ」と公言していた。
結果は裏目に出て、7月に破産申請となった。住宅ローンを元手にした債務担保証券(CDO)で投資家に16億ドルの損失を被らせたのだ。
非難が集中して当然だろう。大手英銀バークレーズはベアー傘下のファンドとは因縁浅からぬ関係にある。破綻した二つのファンドの一つ、エンハーンスト・レバレッジ・ファンドの単独出資者だった。ところが、もう一つのファンドであるベアー・スターンズ・アセットマネジメントが、07年5月に最もリスクの高い証券5億ドル分をエンハーンストに転売した。ファンド破綻後、バークレーズとベアーの間で、いざこざが起きたのは言うまでもない。
バークレーズは07年12月、ベアーを相手取り損害賠償請求訴訟を起こした。「ベアー・アセットは取得価格では他の投資家には転売できそうもない証券を飛ばす場所として、エンハーンストを利用した」とバークレーズは訴状で指摘している。
連結対象外の会社や取引先を利用した問題債権の「飛ばし」といえば、バブル崩壊後の日本を思い出させる損失隠しの手法である。苦しいときに金融機関が頼る手法は同じらしい。
ベアーの07年9~11月期(第4四半期)の損失(優先配当支払い後)は8億5400万ドルにのぼった。9~11月期だけで19億ドルものサブプライム関連損失が出たためで、四半期ベースでの赤字転落は1923年の創業以来初めて。手堅い証券会社としての信用に傷がつき、決算もボロボロ、経営立て直し策も見当たらない。ベアーは米国株の弱気(ベア)を象徴する羽目になった。
阿鼻叫喚の巷のウォール街で唯一と言っていい例外は、証券化商品のリスクにいち早く気づき、空売りでしたたかに儲けたゴールドマン・サックスだろう。同社のアナリストは、自社以外の大手金融機関――シティ、メリル、JPモルガン・チェースなどのサブプライム関連損失額が、従来予想に比べて一段と膨らむに違いないと予想する。
その推計ではこの10~12月の評価損だけでシティ187億ドル、メリル115億ドル、JPモルガン34億ドルとなった模様だが、サブプライムを原材料にした複雑な証券化商品であるCDOの評価損は今後さらに拡大すると見ているのだ。CDOは買い手がつかず市場が“蒸発”している。損失は実現損でなくモデル価格による評価損だから、計算を見直すたびに損が膨らむ悪循環が起きる。
ハイリスク部分を抱える
さらに見逃せないのは、誰がリスクの高い証券化商品を保有しているかである。年金基金、保険会社、銀行……いずれもイエスだが、本当の答えはヘッジファンドだ。ベアーのケースをやや詳しく紹介したのも、ファンドが抱える爆弾の性格を理解してもらうためである。ならば、ファンド勢はどの程度の額の証券化商品を保有しているのか。
雲をつかむような話と思われるが、天網恢々疎にして洩らさず――。
経済協力開発機構(OECD)が昨年11月下旬にまとめた「金融市場報告」にヒントがある。サブプライムなどを元手にしたCDOの所有者別の保有状況を推計しているのだ。グローバルなCDOの総額を3兆ドルとみて、ヘッジファンドの保有分は1兆3960億ドル(約150兆円)。CDO全体に占めるファンドの保有比率は46.5%に達する。
もうひとつ注目されるのは、投資適格に満たないBB格や無格付け(エクイティ)部分を、ファンドが大量に保有していることだ。ファンド勢によるBB格部分の保有額は690億ドル、無格付け部分は5730億ドルに達する。CDO全体のBB格は870億ドル、無格付け部分は7980億ドルだから、ヘッジファンドがリスクの高い部分の大半を引き受けている構図が浮かぶ。
サブプライムが証券化に適していたのはほかでもない。通常のプライム(優良融資先)に比べて金利が高く、金利収入というキャッシュフロー(現金収支)を得やすかったうえに、少しでも高い投資収入を求めたファンド勢が、リスクの高い部分をまとめて購入してくれたからだ。元になる資産がサブプライムなのに、そこからAAAなど格付けの高い商品をこしらえることができた裏には、こうしたカラクリがある。
証券化の魔法が可能だったのは、サブプライムの焦げつきが低く抑えられていればこそ。ところが、サブプライムの利払い延滞は昨年後半にかけて急上昇、住宅を差し押さえて担保処分しようにも、住宅市場は冷え込んでいる。ファンドが引き受けていたCDOは今や水浸しなのだ。
証券化商品の実勢を測る物差しのABX指数では、昨年12月時点でBBB格とBBBマイナス格が額面100に対して20程度。BB格や無格付け部分は紙屑同然だろう。それをしこたま抱えたファンド勢の決算が次々火を噴くのは目に見えている。
さらに悩ましいのは、米欧の大手金融機関そのものがファンド関連のビジネスにどっぷり手を染めていたことだ。ファンドが保有する証券を担保に短期の与信をし、証券の執行や代行を行うばかりでなく、投資案件を見つけ出してはファンドと二人三脚を組む。プライマリーブローカーと呼ばれるファンド関連業務は、米欧金融機関の収益源だった。
UBS、クレディ・スイス、ドイツ銀行、ゴールドマン、モルガン・スタンレー、JPモルガン・チェース、リーマン・ブラザーズ、メリル、シティ、そしてベアー――米欧の大手10金融機関で、ファンドへの総与信額は3兆2560億ドル(約350兆円)にのぼり、10社の中核的自己資本(BIS規制によるティア1)の合計4390億ドルをはるかに凌駕する。銀行が抜本処理に乗り出した傘下のSIV(投資ビークル)の推定総資産4千億ドルの8倍というから、天文学的な数字だ。
証券などの担保を抑えているから大丈夫との指摘もあろうが、金融市場全体が凍てつくなかで、大手ファンドが倒れた場合の衝撃は小さくあるまい。何よりも住宅投資の落ち込みで実体経済が失速した場合の影響を軽視できない。金融市場の混乱が景気悪化を招き、景気悪化が今度は金融不安の種になる。バブル崩壊後の日本が経験した負の連鎖の再来だ。
MMFの抱える爆弾も
米有力ストラテジスト、バイロン・ウィーンは毎年恒例の「サプライズ予想」の冒頭で、ドラスチックな米国景気後退を挙げている。
「米連邦準備理事会(FRB)による金融緩和や他の政策手段が打たれても、住宅着工件数は軟調が続き、リスクが明白な借り手への融資に銀行が二の足を踏むことで、米経済は01年以来の景気後退に直面する。短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利は3%以下に下がり、失業率は5%を上回り、消費支出の足取りは重くなる」
ウィーンの予想の二番目は「S&P500種の収益は前年比減となり、S&P株価指数も10%下落する」。1月8日までニューヨーク株式市場が急落したのは、この予想をなぞっているようにもみえる。
ヘッジファンドが倒れ、大手金融機関の自己資本に穴が開いたとき、中東や中国などの政府系ファンド(SWF)の出資でその穴を埋め続けられるのか。
もうひとつ、決定的な爆弾はリスク回避の資金の駆け込み寺、MMF(マネー・マーケット・ファンド)に潜む。サブプライム絡みの商品を基にした資産担保コマーシャルペーパー(ABCP)に投資していたMMFの一部は、解約に見舞われだした。バンク・オブ・アメリカなどは傘下のMMFに資金を注入し、絆創膏を貼っている。とはいえ、サブプライム禍が一段と深刻になり、MMFの元本割れが相次いだら、97年の日本の北拓・山一危機のように解約の嵐が起きないとは限らない。
銀行株が米国以上に下がっているのに、邦銀のサブプライムの損失が一ケタ小さいせいか、日本の経済人はのほほんとしている。が、サブプライム爆弾の次に、ヘッジファンド爆弾が炸裂し、MMFにも余波が及ぶ日は遠くないのだ。=敬称略
(貼り付け終わり)
by f1wrxgt
| 2008-02-17 14:37