相場と情勢


by f1wrxgt
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大前研一ニュースの視点

NTTドコモ
インド・ハチソンエッサーとの契約解消
番号継続制でドコモが一人負け
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●ドコモの今後の課題は、根本的な経営姿勢を改めること

7日、NTTドコモは、インドの携帯大手ハチソンエッサー社(Hutchison Essar Ltd)との
「iモード」のライセンス契約を解消したと発表しました。

両社は昨年12月、ドコモがハチソン社にiモードサービスを提供し、2007年末までに開始
することで合意していました。
NTTドコモは今回の契約解消について、「ハチソンエッサー社の事業環境が変化したため
、サービスを提供することが困難と判断した」としています。

しかし、これまでにも、米AT&Tワイヤレスやオランダ最大の通信業者KPNモバイルとも、
iモードのサービス提供が上手く進まなかった事実があります。

私は、今回の契約解消は単なる表層的な事象に過ぎず、根底には、NTTドコモという企業
が持ってしまった“驕り”と“傲慢さ”が原因にあるのではないかと感じています。

業界は違いますが、同じように国内敵なしの状況にあったトヨタ自動車は、その謙虚な
経営姿勢を貫き、 遂には世界のGMを凌駕する存在になりつつあります。
一方、NTTドコモは、今回の提携解消も含め、海外戦略に苦労し続けています。

この差を生んでいるのは、外部要因だけではないでしょう。

企業としての経営姿勢という根本部分に違いがあるからこそ、長期的なスパンで見たとき
には、大きな差となって現れてきているのだと感じます。

●ドコモ2.0は、大きな過失。絶対にやってはならないマーケティング戦略だ

海外におけるiモード展開に足踏みしている間に、磐石だった国内でも、ドコモの地盤が揺る
ぎそうな事態になってきています。

番号ポータビリティ実施後の契約純増数の推移を見てみると、ドコモの一人負けといった
状況になっています。
※「携帯電話3社の契約純増数の推移」チャートを見る
→ http://vil.forcast.jp/c/agtKaguhqsjynPab

さらに、まずいことにドコモの経営陣は、このタイミングで経営者としては絶対にやっては
いけないマーケティング上の重大なミスを犯しました。
それは、今、ドコモが大々的に広告している「ドコモ2.0」という広告です。

『そろそろ反撃してもいいですか?』 のキャッチコピーを見て分かるように、この戦略は
完全に同業他社に反発し、それを打ち負かすことだけを考えたものです。
こういった考え方を、経営学では、「コンペティティブ・リタリエーション(競合反発)」と呼び、
経営者が選んではいけない戦略の1つになっています。

なぜなら、この考え方は、業界収益をなくし、自分も相手も血だらけになるだけという結果を
もたらすからです。
ドコモにしたところで、例外ではないでしょう。
確かに、値引き合戦に持ち込んで、資金による体力勝負になれば、ドコモが勝ち、ソフトバ
ンクが負けるのは自明です。
しかし、「反撃しても、いいですか?」などという挑戦的なキャッチコピーを見れば、消費者は
「値下げするのかな?」と思います。
結果、消費者の買い控えを引き起こす可能性があります。

つまり、大々的な広告は打ったが、買う人はいなかったという最悪の結果につながる
危険性が高いと私は思います。

ドコモが採るべき正しい道は、新しいサービスの開発や今とは違う土俵を、他社に悟られる
ことなく、作ってしまうことだったのです。
競合反発など、最悪の選択だと言わざるを得ません。
もし私がドコモの社長なら、今回の広告を作った人を解雇するでしょう。
それくらい、これは経営の基本に背いた大きな過失だと思います。

事業のタイミングによっては、経営がよくわかっていなくても、企業が大きく成長することは
あります。
しかし、それを継続することはできません。
ドコモには、トヨタをお手本にして、経営の基本を1から学び直してもらいたいと私は思います。

以上

 
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by f1wrxgt | 2007-05-18 09:53