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相場と情勢


by f1wrxgt
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7-9月 GDP (日本) の解説  (転載)

7─9月期GDP:識者はこうみる

[東京 14日 ロイター] 内閣府が発表した7─9月期国内総生産(GDP)は、実質で
前期比0.5%増(年率2.0%増)と7期連続の増加となった。発表の数字は、事前予測
(ロイター予測:前期比0.2%増、同年率1.0%増)を上回った。
市場関係者のコメン トは以下の通り。


●10─12月期もプラスか、年内利上げの可能性

<ニッセイ基礎研究所シニアエコノミスト 斎藤太郎氏>

消費がマイナスとなったのは予想どおり。設備投資は高めの伸びとなった。実質国内総
生産(GDP)成長率全体も予想を上回った。一部でマイナス成長予想もあったので、
安心感が広がる数字となった。

設備投資が予想外に強く、今後も高い伸びを続けると考えることは厳しい。
輸出は伸びているものの、米経済の減速を考えると伸びが落ちるとみている。
企業収益の伸びも落ちると思う。
設備投資の拡大ペースは緩やかに減速傾向となるとみている。

ただ、10─12月期は消費が前期の反動で高めの伸びになるので、実質GDPもプラス
成長になると予想している。

日銀の年内の追加利上げの可能性はあるとみている。設備投資が強かったので、追加利上
げに追い風となる。12月に日銀短観で設備投資の強さが確認されれば、年内の追加利上げ
の可能性はあるとみている。


●債券売り材料、在庫調整進めば今後マイナスも

<カリヨン証券・チーフエコノミスト 加藤進氏>

7─9月期実質GDPは前期比プラス0.5%と市場予想を大きく上回り、目先は債券相場の
下押し材料になりそうだ。だが、内容は外需主導型の成長で、内需の項目を見るとかなり
経済活動は弱い。
在庫調整が進めば10─12月期はマイナスに転換することも視野に入る。
GDPデフレーターも前年同期比マイナス0.8%とマイナス幅が大きい。GDPの数字だけ
でみると予想をかなり上回ったが、一方的に債券相場が下落する展開は考え難い。
きょうは間 違いなく売られると思うが、10年最長期国債利回り(長期金利)は1.7%を大きく
上回る展開は想定しにくい。

●銀行株など内需株全般に買い戻し

<ベア・スターンズ証券マネージング・ディレクター 倉持宏朗氏>

株式市場では、銀行株などに買い戻しが入っている。エコノミストの事前予想がマイナス
成長の方に傾いていた反動がある。
GDPで予想と反する数字が現れたので、買い戻しの動きが内需株全般に広がるだろう。

GDPのプラス成長を受けて、懸念されていた裁定買い残が今後解消されるのかも注目さ
れる。


●円買い反応は短期的、相場の方向感変わらず

<JPモルガン・チェース銀行 チーフFXストラテジスト 佐々木融氏>

設備投資が強く外需もプラスで、GDPは予想を上回った。
事前発表の9月機械受注が予想を下回ったことで、市場ではGDPも弱含みになるとの
観測が強かっただけに、結果はサプライズで為替相場も円買いとなっている。

ここまでは正しいリアクションだが、この反応は短期的なものにとどまり、為替相場の方向感
が転換することはないだろう。
ここ数年間、国内景気の底堅さが株高につながり、個人投資家の海外投資が活発となること
で円は売られてきた。景気の後退感で円が売られてきたわけではない。
さらに重要なのは、7―9月という過去のデータではなく、今後の推移だ。直近発表になった
機械受注も企業物価も決して強い内容とはいえない。
しばらく円買い反応が残るかもしれないが、向こう1カ月程度を考えれば、116円半ばから
118円半ばというレンジ相場に変わりはない。
円買いに大きく反応すれば、円の売り場と考えていいだろう。

●表面上の数値は強い、金利急低下の反動も

<日興シティグループ証券・チーフストラテジスト 佐野一彦氏>

7─9月期の実質国内総生産(GDP)の1次速報値は、前期比プラス0.5%と市場予想を
上回った。
表面上の数値が強かった印象だ。前日まで金利が低下した分の反動が予想される。

もっとも中身は設備投資が前期比プラス2.9%と出来すぎの印象を否めず、在庫の寄与
度も大きい。驚く数値ではない。 

個人支出は予想通りのマイナス。好調な企業部門から家計部門への波及というシナリオを
描く日銀にとっては苦しい立場であることに変化はない。
設備投資先行きについても機械受注で今後衰えていく数値が出ている。景気が強いとの認識になりにくい。

円債市場は、日銀が追加利上げに意欲を示しているため、イールドカーブはベアフラットニ
ングしやすいが、GDPの結果を受けた相場のショックは一時的なものになるのではないか。
最終的に年度内の追加利上げは難しいとみる。

●日銀の景気見通し揺るがず、1月までには利上げ

<東短リサーチ チーフエコノミスト 加藤出氏>

家計調査や設備投資の動きから、7─9月実質国内総生産(GDP)が場合によっては
前期比プラスマイナスゼロかマイナスに落ち込むことを警戒する空気が市場にはあったが、
結果は予想を上回るものだった。
この内容であれば、日銀が10月の展望リポートで示した景況感は揺らがない。
日銀の景気シナリオは当面変更はないと思うので、16日の福井俊彦日銀総裁の記者会見
でも、フォワードルッキングな利上げという点が強調されることになるだろう。

9月の経済指標が振るわなかったことによる市場の弱気な空気はだいぶ変わってくるだろ
うが、今後、10─12月期からはより景気の改善がみられる数字を確認することが必要だ。
中長期的には日銀の景気見通しは間違っていないと思うが、目先は経済指標がミニ踊り場
のような数字を示しているので、もう少し景気のよさを示す内容の指標が出てほしいところ。
また、現在、米国の消費動向は強弱が入り乱れているが、来週後半から始まる米国のホリデ
ーセールにも注目している。

米国の消費動向がある程度しっかりしたものになり、国内指標でも上向きなものが出てく
れば2回目の利上げに向けた環境は整う。
1月までには、日銀は2回目の利上げに踏み切る可能性は高いとみている。


●年内の追加利上げの可能性は残す

<みずほインベスターズ証券 債券部 マーケットアナリスト 井上明彦氏>

7―9月の実質国内総生産(GDP)の一次速報値は前期比プラス0.5%と、市場予想
以上に伸びている。先行指標となる機械受注が弱く、設備投資の強さには懐疑的な向きも
あっ たようだが、今回のGDPは設備投資がけん引した格好だ。

これにより、日銀の追加利上げが年内に実施される可能性が高まったとは言い切れないが、
少なくとも年内の可能性は残す内容だったのではないか。
12月の日銀短観で強さが確認されれば、年内利上げもあり得る。

一方で、民間最終消費支出は前期比マイナス0.7%と弱かった。設備投資が強かったと
はいえ、全体をけん引するには材料不足。
10―12月期の実質GDPでもプラスを維持するには、消費の持ち直しがカギとなりそうだ。

●消費下落・在庫増加など懸念あるも、景気の弱さは一時的

<RBS証券 チーフエコノミスト・ジャパン 山崎衛氏>

GDPの数値は予想より良かったが、消費は大きく下落した。天候要因もあるが、企業から
家計への波及が遅れているようだ。在庫も予想よりも大きく増加してGDP押し上げに寄与
したが、IT関連財の在庫積み上がりなどの意図せざる在庫増加と、前向きな増加が混在
しており、評価は難しいところ。

一方、設備投資は企業の更新投資が相変わらず強く、依然景気のけん引役であることを
印 象付けた。
企業から家計への波及は遅れていることもあり、10─12月期の景気が7─9月期より
大きく改善すると予想することは困難。しかし景気の弱さは一時的で、これで景気拡大
が終わるとは考えない。

日銀の追加利上げについては、データの動きからみて年内は困難だが、今年度内では可能
性がある。引き続き1─3月期の利上げを予想する。

●景気加速局面ではない、円売り圧力残る

<三菱UFJ証券 シニア投資ストラテジスト 服部隆夫氏>

GDPは市場予想を上回ったが、消費が伸び悩むなど企業部門から家計部門への波及が
見られない。
設備投資は高水準だが、伸び率は1―3月をピークに多少鈍化している。
企業部門から家計部門へ波及して景気が加速する局面ではない。
警戒感を持つべきデータだ。日銀サイドの発言がタカ派に傾いているだけに、相場予想を
作るうえで利上げを想定せざるを得ないが、段階的な利上げに移行できるような内容では
決してない。GDPデフレーターも依然マイナスだ。

市場予想を上回ったことで反射的に117円台前半付近まで円買いが進む可能性もあるが、
日銀が中長期的な利上げを継続できるとは見ていない。
円には売り圧力がかかりやすい状況が続くと予想している。

●3つの円高要因、政府は日銀に圧力かけづらい

<バークレイズ銀行東京支店 チーフFXストラテジスト 梅本 徹氏>

今日のGDPは3つの点で円にとってポジティブだ。第1は、実質成長率が前期比年率2%に
乗せ、日銀の12月利上げはほぼ確実になった。
また、前期の数字が上方修正されており、これで、政府・自民党も日銀に圧力をかけづらく
なるだろう。
第2に、成長が外需主導になっていることも、貿易黒字の拡大という点で円買い要因である。
第3には、在庫の増加は内需に鈍化傾向が出てきていることを示しており、これは国内投資
家のリスク許容度が低下し、 資本流出が減少することにつながるため円高要因となる。
by f1wrxgt | 2006-11-14 12:49