なるほど・・・ Qui bono? (誰の利益になるか)
2006年 11月 13日
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成18年(2006年)11月13日(月曜日)
通巻第1615号
ブッシュ敗北のあと、誰が一番得をしたか?
気が付けば、中東に“ペルシア帝国”が再来していた
イラク攻撃の緒戦の華々しさが暗転し、泥沼に陥って不人気に立ち往生した米国。
11月初旬の中間選挙によって、ブッシュ率いる共和党は史上まれな惨敗を喫した。
08年大統領選挙は民主党が掌握する可能性が高まり、しかもヒラリー・クリントンがNY州
選出上院議員再任の勢いを駆って、次期大統領候補の最右翼に躍進した。
連邦下院議会は、かのリベラル過激派の旗手ペロシ女史が掌握することになった。
対照的にネオコンが消え、鷹派のラムズフェルド国防長官は去り、ブッシュ政権第二期後半
は、事実上のレイムダック入り。
こうなると、08年共和党大統領候補はマケイン上院議員か、ライス国務長官ということになる。この二人程度であれば、ヒラリーに勝てる可能性は、極めて低い。おそらくゼロに近い。
この結果に、誰が一番嗤っているのか。
金正日。胡錦濤?ヒラリー?
私見によれば、一番得をしたのは、イランである。
アーマドネジャッドが露骨に反米を獅子吼して進めてきたイランの核武装は秒読みに入って、
しかし米国は手も足も出せない。
北朝鮮の核武装を容認し、北京の横暴を黙認し、プーチンの帝国主義的反米政策にも、
なにも出来ないでいる米国は、かろうじてレバノンに治安維持名目の国連軍をNATOと、
中国に依存することによって、名目を保った。
アフガニスタンは、米国の報復の対象ではあっても、復興はNATOにまかせざるを得ず、
鵺的なムシャラフを梃子入れしてのパキスタン支援も、背後の中国が間接的に裨益し、
タリバンはアフガニスタン各地に復活し、地球的規模ではアルカィーダの脅威が消えていない。
目をイランに転ずれば、じつはイランの東の脅威が半減した。
アフガニスタン空爆により、イラン系住民の避難はあったものの、タリバンはイランの脅威でも
あったのだ。
イランにとって西の脅威はサダム・フセインだった。19080年から八年間闘われた「イラン・
イラク戦争」は、ミサイルを飛ばしあっての消耗戦。イラク・スンニ派独裁政権を牛耳った
サダムは、イランの敵だった。
米国のイラク戦争によって、サダムは引きずり下ろされて死刑判決。
従来、イランが密かに背後から支援してきたイラク国内のシーア派が勃興し、あまつさえ
新政権を内部から揺さぶる政治勢力となりえた。
いや、そればかりか、米国の撤退が射程にはいれば、つぎのイラクはシーア派の天下、
くわえて、イランは核武装が秒読みである。
イスラエルは核攻撃の脅威に晒される事になるが、すでに周辺はシリア、レバノンがイランの
影響下にあるばかりか、パレスチナはイラン系ハマスが政権を掌握している!
気が付けば、中東にはペルシア帝国が再現されていた!
平成18年(2006年)11月13日(月曜日)
通巻第1615号
ブッシュ敗北のあと、誰が一番得をしたか?
気が付けば、中東に“ペルシア帝国”が再来していた
イラク攻撃の緒戦の華々しさが暗転し、泥沼に陥って不人気に立ち往生した米国。
11月初旬の中間選挙によって、ブッシュ率いる共和党は史上まれな惨敗を喫した。
08年大統領選挙は民主党が掌握する可能性が高まり、しかもヒラリー・クリントンがNY州
選出上院議員再任の勢いを駆って、次期大統領候補の最右翼に躍進した。
連邦下院議会は、かのリベラル過激派の旗手ペロシ女史が掌握することになった。
対照的にネオコンが消え、鷹派のラムズフェルド国防長官は去り、ブッシュ政権第二期後半
は、事実上のレイムダック入り。
こうなると、08年共和党大統領候補はマケイン上院議員か、ライス国務長官ということになる。この二人程度であれば、ヒラリーに勝てる可能性は、極めて低い。おそらくゼロに近い。
この結果に、誰が一番嗤っているのか。
金正日。胡錦濤?ヒラリー?
私見によれば、一番得をしたのは、イランである。
アーマドネジャッドが露骨に反米を獅子吼して進めてきたイランの核武装は秒読みに入って、
しかし米国は手も足も出せない。
北朝鮮の核武装を容認し、北京の横暴を黙認し、プーチンの帝国主義的反米政策にも、
なにも出来ないでいる米国は、かろうじてレバノンに治安維持名目の国連軍をNATOと、
中国に依存することによって、名目を保った。
アフガニスタンは、米国の報復の対象ではあっても、復興はNATOにまかせざるを得ず、
鵺的なムシャラフを梃子入れしてのパキスタン支援も、背後の中国が間接的に裨益し、
タリバンはアフガニスタン各地に復活し、地球的規模ではアルカィーダの脅威が消えていない。
目をイランに転ずれば、じつはイランの東の脅威が半減した。
アフガニスタン空爆により、イラン系住民の避難はあったものの、タリバンはイランの脅威でも
あったのだ。
イランにとって西の脅威はサダム・フセインだった。19080年から八年間闘われた「イラン・
イラク戦争」は、ミサイルを飛ばしあっての消耗戦。イラク・スンニ派独裁政権を牛耳った
サダムは、イランの敵だった。
米国のイラク戦争によって、サダムは引きずり下ろされて死刑判決。
従来、イランが密かに背後から支援してきたイラク国内のシーア派が勃興し、あまつさえ
新政権を内部から揺さぶる政治勢力となりえた。
いや、そればかりか、米国の撤退が射程にはいれば、つぎのイラクはシーア派の天下、
くわえて、イランは核武装が秒読みである。
イスラエルは核攻撃の脅威に晒される事になるが、すでに周辺はシリア、レバノンがイランの
影響下にあるばかりか、パレスチナはイラン系ハマスが政権を掌握している!
気が付けば、中東にはペルシア帝国が再現されていた!
by f1wrxgt
| 2006-11-13 17:10