相場と情勢


by f1wrxgt
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副島 9/20

<住宅バブル崩壊は避けて通れないことがよく認識されている>

今後の経済・金融面で上記の国際政治情勢以外に重要な事実として指摘すべきことは、
ベンジャミン・バーナンキFRB議長の信用が米経済・金融財界の間でも、またマーケットで
どんどん低下しつつあることだ。
アメリカの財界人の多くから、「このような人物にFRB議長として米国の金融政策の運営を
任せて本当に大丈夫なのか?」と危惧されている。ジョン・スノー前財務長官は、アラン・グリ
ーンスパンFRB議長(当時)の陰に隠れて経済政策面で権限が大きくなかったように言われ
ているが、実際にはそれなりの実力があったようだ。
そのスノー前財務長官がバーナンキ議長が、あまりに能力がないために飽きれかえって
しまい、責任がもてないとしてさっさと自ら辞任を表明し、ポールソン現財務長官に受け渡した
のだという。

ポールソン新長官はバーナンキ議長があまりに能力のない人物なのでその“穴埋め”をする
ためもあって長官への就任を依頼された面がある。もはやバーナンキの手腕に対しては
半ば“お手上げ”状態のようだ。実際上、金融政策運営の主導権はグリーンスパン前議長の
“右腕”といわれていたドナルド・コーン副議長にあると囁(ささや)かれている。
この意味でも前議長の影響力がまだ残っているということだ。

8月8日のFOMCでは、次回の会合での利上げの再開に含みを残す声明文を発表しながら
も、FFレートの追加利上げを遂に実施することができなかった。いくら原油価格をはじめと
した素材価格の高騰からインフレ懸念が根強いとはいえ、これ以上利上げを続けてしまうと、
住宅市況が激しく下げ始める
公算が高いからだ。いや、すでにアメリカの住宅バブルは今にも破裂しそうなのである。
全米各地でその極限の状態にまで来ているのである。

米政府やFRBはまだ住宅バブルの下落開始を認めていない。
米国内のエコノミストや金融アナリストたちは、自分が所属している機関(企業)の意向を
拒否できないから、楽観的なことばかりしか書かないが、実際のところ、住宅市況がかなり
バブル的な状態であり破裂寸前であることは多くの政府関係者や金融財界首脳が認識して
いる。
バブル的な様相を強めている住宅市況が各地で下げだせば一気に全面的に崩れてしまう。
それによる資産デフレ圧力(逆資産効果、不動産投資の含み利益の逆回転による負債化)
が強まって深刻な不況に陥る危険性が高いことはよく知られている。

米経済の景気減速は既に明らかな状況となっており、金融財界の支配階層の間では、
住宅バブルが崩壊して資産デフレに陥ることはもはやどうしようもないものとして受け入れ
つつある。
アメリカはやがて不況(景気後退)に突入するのである。

それではこのような緊迫した状況下で、なぜベン・バーナンキのような青二才の能力のない
人物をFRB議長にしたのか。それは、なんと言っても彼が“ヘリコプター・ベン”と異名を取っているように、いざという時には、なりふり構わず、“機械的、自動的に”、大量に米ドル紙幣を
刷り散らかすことを期待されているからである。
彼はかねてからインフレ・ターゲティング政策の導入を持論としていたことは有名だ。
それは住宅バブルが崩壊してデフレ圧力が強まる場合には、信用収縮(クレジット・クランチ、
銀行が強行に融資金の回収をはじめる)の事態が起きて、それが「取り付け騒ぎ」(バンク・
ラニング bank running)となって表面化することで、金融恐慌が起こる可能性が高い。
その前に、自動的に迅速に、瞬時に通貨量を一気に増やして、緊急の金融緩和政策を推進
していくことが彼に期待されていることにほかならない。
だから、本当の本当は、アメリカの経済界は、目先のインフレが怖いのではない。
加熱したインフレが一転して、急激なデフレに変化することが怖いのだ。

バーナンキ議長は、ハーバード大学に出した自分の博士論文で、この「いざとなったら
ヘリコプターで空から紙幣を撒(ま)くようなことも辞さない」と書いている。 
1930年代の大恐慌下における有効な政策対応として、当時の優れた金融経済学者である
アーヴィング・フィッシャーと、マネタリズムを創始したミルトン・フリードマンの理論に基づいて、ベースマネー(広義のマネー・サプライ、ハイパワード・マネー)を直接的に増大させること
がどうしても必要だという趣旨の論文を書いている。

アメリカの住宅バブルが崩壊すれば、多くの家計を中心に企業も金融機関もバランスシート
が毀損してしまう。
そして深刻なデフレ圧力が高まるだろう。それは突発的な金融恐慌の恐怖へとつながる。
だからバーナンキ議長は、目先の政策には一切対応せずに、むしろほったらかしにして、
それよりも、迫り来る巨大な信用崩壊(金融システムの崩壊)の危機にだけ対処しようとして
じっと動かないで、大きく金融緩和政策を推進しようとしているように見える。

すでにグリーンスパン前議長が、04年6月末から急激に利上げを続けてきており、現在では
FFレートが5.25%まで引き上げてきた。このことで、いざという時のために、今度は利下げ
に転じることが出来るから、この利下げ余地(いわゆる、「のりしろ部分」)がある。
日本はアメリカが脅迫して、「ゼロ金利」状態に8年間も強制的に置かれたので、一国の金利
政策という船のペダルを壊されたままである。
アメリカは、いざという時にも、金利政策を使えるから、段階的に利下げを続けて対策を
立てていくことになる。

しかし、現在ではアメリカの経済規模が日本のバブル期である80年代後半の頃と比べても
飛躍的に大きくなっているために、この「のりしろ部分」を使い尽くしても、それでもなおデフレ
圧力が収まることはないだろう。
金融恐慌突入を抑えることはできない。そうなれば、次の手段として、まさしく量的緩和政策
(ドル紙幣の市中への大量の供給)に踏み切って、直接的にベースマネーを供給していくしか
なくなる。
つまり、ドル紙幣を刷り散らかすということだ。
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by f1wrxgt | 2006-09-21 12:40